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成年後見制度を中心に活動をしている行政書士です。日々の業務で感じたこと,学んだことを自分の覚え書きとしてつづっていきます。つぶやきを少し長くしたようなものです。

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記事の引っ越しのお知らせ

ブログを以下のサイトに引っ越しました。今後ともよろしくお願いいたします。

http://jin.pecori.jp/jinguuji

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金持ちの子でも生活に困った親の面倒を見なくてもよいのか(扶養義務)。

 前回,「 扶養義務者である親族に多額の資産があっても,いかに高額の収入があっても,扶養する意思がなければ親族は扶養する必要はないわけです。」という風に書きましたが,本当にそうなのでしょうか。「扶養義務は生活保護に優先する」という意味について今回は見たいと思います。

1.優先の意味については二つの説があるようです。

(1)受給要件説
 扶養できる家族(扶養義務者)がいるときには,生活保護は受けられないとする考え方です。
(2)事実上の順位説
 扶養できる家族(扶養義務者)がいても扶養しないときは,生活保護は受けられるという考え方です。

2.生活保護法の立場
 生活法護法を読む限りでは受給要件説に立っているように思われます。その一つの根拠として生活保護法の第77条(費用の徴収)において,立て替えた費用を扶養義務者である家族から徴収できると決められています。

3.保護の補足性
 生活保護法は,多額の資産,収入がある扶養義務のある親族がいるときには生活保護をおこなわないと決めています。また,緊急の時にはいったん生活保護をおこないますが,後から本来扶養義務のある親族からかかった費用を取り立てるとも決めています。保護の補足性と呼ばれています。

4.まとめ
 生活保護法をそのまま忠実に執行すればお金持ちの子供が困っている親の面倒を見ないですんだり,困窮している兄弟姉妹の面倒を見ないですむわけはないという結論になります。

 現実の法律の運用はそうなっていません。今回の生活保護法の改正は,受給要件説の運用にできるだけ近づけたいという意図で受給申請の段階での手続を厳格にしたといえると思います。受給資格申請の水際作戦を強化して,受給を難しくしているという弁護士会などから批判が出ています。

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舛添要一氏都知事選立候補で「扶養義務」問題が再燃するか。

 舛添要一氏が都知事選立候補を表明しました。そこで囁かれているのが「4番目の姉の扶養問題」です。

 週刊文春2007年10月4日号(42-45p)が,次のようなことがあったと伝えています。

「・4人の姉のうち4番目の姉が生活保護を長年受けていた
・平成四年(1992年)、北九州市の担当職員が「可能な範囲で1万でも2万でもいいから仕送りしてくれ」と頼みに舛添氏の家を訪ねたが追い返された(元市職員談)。
・当時の舛添氏はタレント学者としてテレビで稼いでおり、億単位で不動産を買い漁っていた。
・北九州市は生活保護率が全国一だったこともあり、当時は生活保護の適正化に一生懸命だった。」

 生活保護法も去年(2013年11月)に改正(未施行)されています。いい機会なのでもう一度,生活保護法と民法の扶養義務者との関係を見ておきたいと思います。

1.民法の扶養義務
 民法で扶養の義務があるとされているのは夫婦,親子,兄弟姉妹です。特別の事情があるときには甥・姪などの三親等内の親族となっています。

 扶養義務には生活保持義務と生活扶助義務の2種類があります。
(1)夫婦間の扶養義務又親の未成年の子に対する扶養義務は生活保持義務と呼ばれて,扶養をするのが当たり前だと考えられています。いわば,重い義務です。
(2)それ以外の扶養義務は生活扶助義務と呼ばれ,自分に余裕があったら助けてあげなさいというほど軽い義務です。

2.生活保護法の保護の補足性
 生活保護法では,扶養義務者の扶養を補う形でおこなうとしています。保護の補足性といわれているものです。

 兄弟姉妹間の扶養する義務,成人の子が親を扶養する義務はどの程度のものが求められているのでしょうか。また,福祉事務所は,実務的にどういう手順で扶養義務を求めているのでしょうか。
(1)扶養義務の程度
 生活扶助義務としていて,余裕があれば扶養をお願いしたいというスタンスです。強制をされる義務ではないと考えています。
(2)扶養義務者への働きかけとその手続
 扶養義務者がいるかどうかを調べ,扶養義務者である親族に扶養ができるかどうかの問合せをします。普通には手紙での問合せになります。

3.まとめ
 扶養義務者である親族に多額の資産があっても,いかに高額の収入があっても,扶養する意思がなければ親族は扶養する必要はないわけです。また,扶養義務者の親族が扶養できる経済状態にあるにもかかわらず,扶養しないからといって生活保護をしないということはできません。

 本人の資産や収入が保護基準に該当すれば扶養義務者の意向にかかわらず生活保護費を支給しなければなりません。

4.参考として平成22年の保護率(出所:国立社会保障・人口問題研究所)
(1)日本全体の保護率
世帯1000世帯当たりの保護世帯数:約15世帯(1.52%)
※昭和26年の世帯1000世帯当たりの保護世帯数約24世帯(2.42%)
※戦後最低の世帯保護率は平成7年で世帯数約7世帯(0.7%)
(2)山梨県の保護率
世帯1000世帯当たりの保護世帯数:約6世帯(0.57%)

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遺言書が争族(家族崩壊)のスタートにならないために。

 以前にも書いたことがありますが,遺言は万能ではありません。遺言を残したがためにそれまで円満だった家族が崩壊するということもあります。

 遺言書が出てきてその内容が相続人にとって不平等であった場合,その子はどう感じるでしょうか。

(1)親は自分のことを嫌っていたのだと感じるかもしれません。そして,すでに亡くなった親にそのことを確かめる方法はもう永遠にないのです。
(2)親がこんなえこひいきな遺言を残すはずはない。これはきっと,一緒に住んでいた兄貴の入れ知恵だと憤慨するかもしれません。

 どうであれ,有利な分配を受けた相続人(兄弟姉妹など)に怒りがぶつけられます。これではせっかく争族になることを避けるために残した遺言書が,争族の元になってしまいます

 きょうだい仲がよく,親子・きょうだいがうまく言っている家族においては,遺言を残すのはよくよく考えてする方がよいでしょう。残されたものが話し合いによって遺産を分割できるのであれば,それに越したことはないわけです。

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池井戸潤『かばん屋の相続』を読みました。

 池井戸潤さんは,「倍返し」で話題をさらったテレビドラマ『半沢直樹』の原作『オレたちバブル入行組』と『オレたち花のバブル組』の著作者です。彼の作品を読むのは,江戸川乱歩賞受賞作『果つる底なき』(1998年)を読んで以来です。

 『かばん屋の相続』は読みたいと思いながら機会がないままになっていました。昨日(平成25年12月28日)読んでみました。相続をめぐる兄弟の財産争いという単純なストーリーだけではない趣を持った内容になっていて,最後まで一気に読み終えました。

 物語から離れて作品に登場する遺言や相続の法律的な点について少し見たいと思います。

(1)父親が残した遺言状の法律的な効力
 ワープロで書かれた文面に父親が自分で署名をしています。弁護士が病床で遺言の内容を聞き取って,それを書類にして内容を確認の上,署名した遺言状が残されていました。

 遺言は法律に定められた方式に従わない場合は効力がありません。普通の方式は自筆証書,公正証書または秘密証書によらなければなりません。この物語の方式はこのどれにも当てはまりません。一番近いのが秘密証書による方式ですが,公証人と証人二人が必要です。また署名時に正常な判断能力があったかも問題になります。

 特別の方式として死亡が迫った人が遺言をするときには,三人の証人が立会のうえ口頭で遺言をすることができます。その後20日以内に家庭裁判所で確認をしてもらう必要があります。

 物語には,秘密証書による遺言・特別方式の危急時の遺言であると思わせる話は出てきていませんので,法律で決めた遺言の方式に従った遺言ではないということになります。したがって,父親が残した遺言状は遺言としての法律的な効果はないといえます。

(2)相続放棄,生前贈与が物語の伏線として張られています。
 ミステリー仕立ての物語ですので,これ以上説明するとネタバレになってしまいます。相続放棄,生前贈与の展開については作品をお読みになってお楽しみください

(3)物語ではふれられていませんでしたが,生前贈与が詐害行為に当たらないのか気になるところです。

 『半沢直樹』もよいのですが,人情がにじみ出る『かばん屋の相続』を正月の読書目録に加えてみてはいかがでしょうか。

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